離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
今後はうっかり顔を合わせて身代わりだったと気づかれないためにも、カンファレンスルームに近づかないように気をつけなければ。


「こちらこそ」


にっこり微笑んだ彼だけど、私を乗せると隣に滑り込んできた。


「えっ……」

「見合いは終わった。それで、いつ素顔を見せてくれるんですか?月島先生」


津田さんは私に鋭い視線を送り、怒ったような口調で尋ねてくる。

その言葉で、私が竹内さんの代役だと気づいているのだと悟った。

しかも月島先生って。
……ということは、院内学級の教師だということまでお見通しなの?


「……すみません」


もうなにも言い訳できない。

深々と頭を下げると、彼は運転手にどこかの住所を告げている。

それからしばらく沈黙が続いたが、走り出したタクシーが大通りを左折したとき彼は再び口を開いた。


「わかってる? 俺がどんなに大変だったか」


怒ってる……。

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