離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
忙しいのに時間を作ったのだろう。
それなのに見合いの相手が代役だったなんて、怒りが爆発したとしても文句は言えない。


「申し訳――」
「俺がどれだけ笑いをこらえるのが大変だったか」
「わ、笑い?」


思わぬ発言の意味が呑み込めず瞬きを繰り返していると、彼はニヤリと笑う。


「わざと箸を落としてみせるし、趣味が合わないとアピールしようとするし」


全部わかっていて、あの切り返しだったんだ。

彼のほうが一枚も二枚も上手だったらしい。

それにしても、タクシーに乗ってから物言いがフランクになったような。


「重ね重ね、すみません」

「それで、猫を被っていないほうの月島さんが知りたいんだけど」

「は?」


彼は意味深長な笑みを浮かべる。


「俺はこっちが素。月島さんは事情聴取ね。逃がさないからよろしく」


なるほど。
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