離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
こんなことくらいで怒ったりしないとわかっていて、わざとおどけているに違いない。

空元気にも感じられるけれど、私ものることにした。


「内緒にしといて」
「しょうがないな。それじゃ、授業行ってくる」
「うん」


真奈香ちゃんは、直秀さんににこっと微笑みかけてから離れていった。


「すみません」

「謝られることはなにもないよ。生徒に、婚約のこと話してくれたんだね」

「生徒には嘘はつきたくないというか……」


婚約を喜んで舞い上がっているみたいで面映ゆい。


「いや、うれしいよ。彼女に幸せにすると約束したから守らないとね」


でも、一年間だけなんでしょう?

一年後に離婚したら、真奈香ちゃんはどう思うだろう。

ふとそんなことを考えたものの、いまさら婚約を撤回できない。


「……あの子、ちょっと涙目じゃなかったか?」

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