離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
「は、はい」


たったそれだけのことなのに、握られている腕が熱を帯びていく。

つい先日まで赤の他人だった彼が、急に近い存在になったのに気持ちがついていかないのだ。


「それじゃあ、頑張って」
「ありがとうございます。直秀さんも」
「サンキュ」


彼は軽く手をあげて去っていった。



その日、仕事を終えると、直秀さんからメッセージが入っているのに気づいた。


【終わったら連絡して。食事に行かないか】


デートのお誘い?

婚約したのに、デートすら未経験。
こんなカップルいるだろうか。


【今、終わりました。食事のお誘いうれしいです。でも直秀さん、お忙しいのでは?】


そもそも私たちが結婚をするのは、互いに仕事に集中したいからなのに。

病院を出て返事を送ると、しばらくして電話が鳴った。


「もしもし」
『俺』
「はい」


〝俺〟でわかる関係って、ちょっとキュンとするかも。

< 71 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop