Butler and Isla
二人きりの舞踏会
少し前まで赤や黄色に染まっていた木々の葉が色褪せ、地面に枯れ葉が落ち、風が吹くたびにブルリと体が震える季節になった時、私の運命は大きく変わった。

あの日、全てを捨てたはずだった。そうしないと生きていけないと本気で思っていた。なのに……。

「お嬢様」

あなたを見るたびに、その意思が揺らいでしまうのは何故?



ブルペスト王国の首都・ハリエットは華やかなことを好む貴族が多く住んでいるため、街はまるで宝石箱のように美しい。街の中央にはゴシック様式の城があり、その周りには貴族たちが暮らす屋敷が建てられている。

その屋敷の一つの窓が開き、バルコニーに白いネグリジェを着た少女が姿を見せる。艶やかなプラチナブロンドの髪を朝の風に靡かせ、まるですみれの花を思わせる紫の両目は空をジッと見上げている。

雪のように白い肌、二重の大きな目、厚めの赤い唇を持った少女は街中を歩けば誰もが振り返るほどの美貌を持っている。おまけに家族の娘なのだ。多くの者が彼女を幸せだと思うだろう。
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