エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
澄夏は高まる緊張感に苛まれながらも口を開いた。

「結論から言うけど、私たち近いうちに離婚した方がいいと思う」
「え……離婚?」

一哉が衝撃を受けたように目を見開く。

その珍しく動揺する様子から、彼は離婚までは考えていなかったのだと分かった。

「なぜだ? 理由を聞かせてくれ」

それでも彼は直ぐに落ち着きを取り戻したようで、はっきりした口調で言う。

「父が落選してからずっと考えていたの。私たちの結婚はお互いの家の利益の為だったのに、状況が変わってしまった。私がこれ以上一哉さんの妻でいる必要はないって」

(それに離婚したら一哉さんは本当に好きな人と一緒になれるもの)

一哉は険しい表情で黙り込み、しばらくしてから口を開いた。

「俺は離婚する気はない」

「え……」

きっぱりと言い切る夫の反応は予想外で、澄夏は戸惑う。

(どうして? 一哉さんは気まずそうにしながらも、受け入れると思ったのに)

彼のことだから喜びを全面に出したりはしないだろうが、澄夏を引き留める理由はないのだから。

「……それは私の今後の身の振り方を心配してくれているから?」
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