エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「そろそろ帰ろうとしたタイミングで急にデータを纏めろって言われてさ、いつものことだけど」

「それはついてなかったな」

一哉は同情して相槌を打った。

そういうのはよくあることだ。今回どこからの要求だったのかは知らないが、いずれにしても急ぎで報告書の提出を求められたら、本当に一亥の猶予もないのが一哉たちの仕事だ。

帰宅出来ず一徹夜なんてざらにある。

「フォロー出来ず、悪かったな」

「いいって。昨日は念願の奥さんとのデートだったんだから。で、どうだった?」

高畑はくすんだ顔色をしながらも、興味深々と言った様子で目を光らせた。

昨日、なぜ早く帰るんだとしつこく聞いてくるので、隠すことでもないので話した為、聞かれるのは予想はしていたが。

「よかったよ」
「え、それだけ?」
「他になにが聞きたいんだ?」
「どこに行ったのかとか、奥さんの反応とか?」

一哉は呆れて肩をすくめた。

「そんなことべらべら話すか」
「だよね」

苦笑いをした高畑はその後すぐに神妙な顔になった。
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