エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
翌日の仕事のしわ寄せは大きいが、それくらいどうってことない。

昨夜も深夜まで寝かさず抱いてしまったのだが、澄夏はいつも通りに起きて朝食を作り笑顔で見送ってくれた。

別居中、ひとりで家を出ていたときと比べてなんとやる気が湧くことか。

何気ない日々の生活で、彼女にどれだけ支えられていたのかを改めて感じ感謝を覚える。

「今日はかなり遅くなると思う。先に寝ていて」
「うん、分かった。いってらっしゃい」

にこりと微笑む妻が愛しくて、気付けば腰を抱き寄せキスをしていた。

これまでそんな行動を取らなかったからか、澄夏はとても驚き、そして照れていた。

頬を染める様子が可愛いすぎる。一哉は上機嫌で家を出た。

霞が関の駅で降り、経済産業省の庁舎に向かっていると、背後からポンと肩を叩かれた。

誰だと振り向くと、朝から重い空気を纏った高畑がいた。彼は目の下にクマをつくり、いかにも不健康そうな表情をしている。

(昨夜は遅くまでかかったみたいだな)

「おはよう」

力ない声で挨拶をされて、一哉は苦笑いになった。

「おはよう。トラブルでもあったのか?」

一哉が退庁するときには余裕がありそうに見えたのだが。
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