エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
蜜月と覚悟
六月に入ってからは小雨が降る憂鬱な天気が続いていたが、澄夏たち夫婦の関係は順調そのものだった。

楽しかった銀座でのデート以降、イベントのようなものは無いし、依然として彼が自宅にいる時間は少ないけれど、短時間でも夫婦の時間を取っているのですれ違いはない。

結婚三年目にしてようやく、彼との絆を実感出来るようになっている。

今日は彼の帰宅が比較的早かったので夕食を一緒に取れた。

最近は澄夏の家事が終わるタイミングに合わせて彼がコーヒーを淹れてくれて、リビングでゆったり過ごす。

それは心地よくて幸せな時間だ。ただ楽しい話ばかりをしている訳にもいかないのが残念なところ。

「今日ね、お父さんから連絡があったの」
「なにかあったのか?」

一哉が少しかしこまった顔をする。

「ううん。むしろなにも進展がないんだけど、寂しそうにしているから近いうちに顔出してくるね」

マンションに戻ってからはまだ一度も実家に帰ってないので、気になってはいたのだ。

「そうだな。俺も来週に国会が閉会したら余裕が出来るから、一緒に行くよ」
「ありがとう」
「礼なんていらない。当たり前のことだからな」
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