エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「うちのごたごたで、一哉さんとも気まずくなってしまったでしょう? この前長く帰ってきていたのは、なにかあったからじゃないの?」

なにも言われなかったけれど、母は気付いていたようだ。

「あのときはいろいろ悩んでいて。でももう解決したから」

「そう。一哉さんと上手くいってるのね」

「うん」

真咲のことがあるので、完全に大丈夫とは言えないけれど、でも以前のような焦燥感はない。

それはきっと彼と信頼関係が深くなったせいだ。

「よかった」

母は安心したように微笑んだ。



その日の夜八時過ぎ、実家で和子と一緒に夕食の後片付けをしていたときに来客があった。

岩倉家は昔から人の出入りが多い方だけれど、夕食時にやって来る者は少ない。

誰だろうと首を傾げながら応対すると、そこに居たのは予想外に夫だった。

驚きながら門を開錠し玄関に向かう。外に出るとちょうど門からこちらにやって来ていた彼と落ち合った。

「一哉さん、どうしたの?」

疲れているだろう彼がここまで来たということは、なにか緊急事態が起きたのだろうか。

慌てる澄夏を彼は愛しそうに見つめる。

「心配だったから追いかけてきた。お義母さんの具合は?」
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