エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「ヒステリックに喚いたって?」

「似たような言い方をしてた。だけど具体的にはなにも教えてくれなくて」

そう言うと母は苦笑いになった。

「教えないんじゃなくて、答えられないのよ。私がなんで怒ったのか分かってないから」

「お父さんの言葉少ななところに頭にきたの?」

「はっきり言わないと伝わらないって気付いたの。お父さんは昔から頭がよくて、仕事ができるけど、人の感情に鈍感だから。私が変わるしかないからね。今までお父さんに逆らったりしなかったけど、初めて勇気を出して言いたいことを言ったわ。緊張していて感情的な言い方になってしまったけど、でも吐き出してすっきりした」

母の柔らかな表情を見ていると、その通りひと皮むけたように見える。

「それならよかった。お母さんの不調は精神的な面と密接に関わっているって言ってたから、よくなるかもしれないね」

「そうね。早く退院したいし、もっと元気にならないとね」

「その調子」

「澄夏にも心配かけたわよね。でももう大丈夫だから」

「よかった……」

ほっとする澄夏に、母は申し訳無さそうな顔をした。
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