エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
父はそう言いながら、じろりと澄夏を見た。

父は考え方が古風なうえに仕事第一に人間だった。そのせいで仕事に理解をしない妻に対して非常に厳しい。

今も澄夏が我儘を言って一哉を呼び寄せたと思い込み、怒りが湧いているのだろう。

「いえ、彼女には来なくていいと言われていたんですが、心配で追いかけてきてしまいました」

一哉は父の性格を把握しているのか、自ら来たというところをはっきりとアピールしてくれた。

「そうか。娘が心配ばかりかけてすまないね」

父の言い方に少し不満を覚えたけれど黙っておく。一哉も困ったように眉を下げただけだった。

その後、父は一哉だけを誘い、ふたりでリビングを占領して遅くまで飲んでいた。

澄夏が首を長くして待つ中、彼が部屋に来たのは日付が変わろうとする頃。

「遅くなってごめん」

「こっちこそお父さんに付き合ってくれてありがとう。大変だったでしょ? 疲れてるのにごめんね」

父は酒にそれ程強くない体質で直ぐに酔っぱらってしまう。

しかも酔うと絡みだすのでたちが悪い。本人も自覚しているようで出先では気をつけているようだが、自宅だと油断して遠慮なく飲む。
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