エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
父は機嫌が良さそうで、穏やかな空気が流れている。

「いただきます」

和食の朝食を、男ふたりが勢いよく食べて行く。

最近の父はあまり食欲がなかったようだけれど、今朝はよく食べる。

(一哉さんと話したのがよかったのかな。愚痴を吐き出せたみたいだし)

ほっとしながら箸を動かしていると、父に話しかけられた。

「今日、母さんのところに行ってくる」

意外だった。母とは言い合いになってしまったと言っていたから。

プライドの高い父が自分から折れるのは珍しい。

「お母さん喜ぶと思う」

「これからのことについて、話してくる」

「本当に? よかった」

しかもそのことを澄夏に報告してくるのは驚きだ。一哉との話が余程影響しているのか。

上手く仲直りしてくれたら。そして岩倉家が少しでもよい方向に向かえばいいと思う。



朝食の後、澄夏は父に挨拶をして実家を出た。これから一哉と一緒にマンションに帰る。

彼は明日仕事だから、今日は家でゆっくり過ごすつもりだ

しかし最寄りの駅に近付いたとき、一哉の携帯が着信を知らせた。

画面の表示を確認した彼が、不快そうに顔をしかめる。

「どうしたの?」
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