エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
呼び出し音が長く続き諦めようかと思っていたとき、澄夏の声が聞こえてきた。

《はい》

「澄夏、今話せるか?」

妻の声がいつもと少し違うような気がしたけれど、それよりも久々に話せる嬉しさが勝った。

《……お父さんに呼ばれているので少しだけなら》

「お義父さんになにかあったのか?」

《いえ、特に問題がある訳じゃないけど》

やはり澄夏が素っ気ない。一哉は気落ちする気持ちを隠し、言葉を続ける。

「お義父さんを待たせたら悪いから手短に済ませるな。連絡したのは明日そっちに行こうと思ってるからなんだ」

《えっ?》

かなり驚いた声が帰ってきた。

《でも仕事は?》

「明日から連休だろ?」

《ああ……》

澄夏は納得したように相槌を打った。忙しくて連休を忘れていたのだろうか。

「朝一でこっちを出るから十時頃には着く。お義父さんの都合もあるだろうから、とりあえず俺の実家で待機している。大丈夫そうな時間を知らせて欲しい」

《……うちじゃなくて外でもいい?》

「外? 構わないが」

《後で場所と時間を連絡します》

「分かった」

澄夏は用件だけ告げると直ぐに電話を切ってしまった。
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