エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
スマートな振る舞いをうれしく思ったものの、あることが気になって落ち着かない。
「あの、どうして私の居場所がわかったのでしょうか」
カフェから出て歩道を進む龍臣さんの横に並んで理由を尋ねる。
「彰仁から聞いたんだ」
「えっ? 彰仁さんから?」
「ああ。取引先との打ち合わせが終わって本社に戻るときに、美桜とギターケースを背負った男がこの店に入るのを見かけたと連絡があった」
彰仁さんに目撃されていたと聞き、世間は広いようで狭いと痛感する。
「そうでしたか」
龍臣さんが来てくれなかったら、涼ちゃんに抵抗できずにお金を渡していたかもしれない。
もっとしっかりしなくちゃダメだと自分に言い聞かせたとき、彼が不意に足を止めた。
「今回はたまたま近くを車で走っていたからすぐに駆けつけられたが、こんなことが続くようだと美桜を守り切れない。頼むから、もっと危機感を持ってくれ」
普段は冷静な彼の口から放たれた、刺々しい言葉を聞いて息を呑む。
理恵さんがストーカーに襲われたのは、たしかに不幸な出来事だったとは思うけれど、『危機感を持ってくれ』と言われるのは納得できない。
「私は理恵さんの代わりですか?」
龍臣さんは私を守ることで、理恵さんに対する罪悪感を振り払おうとしているのではないかと思わずにはいられなくて、責めるような言葉が口を衝いて出てしまう。