エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
気まずさを感じて話題を探したものの、咄嗟には思い浮かばない。少しの間、頭を悩ませていると、彼の名前も年も聞いてないし、自己紹介もまだだったと気づく。
私に救いの手を差し伸べてくれた彼は、いったいどんな人なのだろう。
謎めいた彼に興味が湧いた矢先、低い声が耳に届いた。
「見合いは嫌だと言っていたが、今もその気持ちに変わりはないのか?」
お見合いをしたくなかった一番の理由は、涼ちゃんと結婚する約束を交わしていたから。
結局、それは幻となってしまったけれど、だからといって親が決めた相手と安易に結婚したくない。
「お見合いに限らず、今は結婚についてなにも考えられません」
「まあ、それもそうだな」
自分の思いを素直に語ると、彼が大きくうなずく。
親と違って、小言を言わない彼と一緒にいるのは気が楽でビールも進む。すると、チャイムが鳴ってルームサービスが届いた。
チーズの盛り合わせとサーモンのサラダ、天ぷらと握り寿司がテーブルの上に並ぶ。
「なにか腹に入れた方がいい」
彼がそう言って、手際よく料理を取り分けてくれる。
食欲はないけれど、私を心配してくれる彼の厚意を無下にはできない。
お皿を受け取り、サラダをひと口味わう。