エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
「どうしたら忘れられるの?」
心の中で燻るつらい気持ちを消し去りたくて、助けを求めるように尋ねた。
「そうだな……。俺の彼女になればいい」
「えっ?」
少しの間を置いて返ってきた言葉に驚き、涙も止まる。
「失恋から立ち直るには、新しい恋をするのがいいと言うだろ?」
唇の端を上げて軽い口調で話す様子を見る限り、私をからかっておもしろがっているとしか思えない。
タチが悪い彼に文句を言おうとした矢先、端整な顔がゆっくりと近づいてくるのが見えた。
「アイツのことなんか、俺が忘れさせてやる」
少し動けば鼻先が触れてしまいそうな距離で、私の目を覗き込む彼の表情は真剣そのもので、冗談を言っているようには見えない。
「あなたの彼女になれば、本当に涼ちゃんを忘れられるの?」
失恋のつらさから解放されたい一心で尋ねると、彼がコクリとうなずいた。
「ああ。なにも考えられなくなるくらい、トロトロに溶かしてやる」
恋愛経験が少なくても、彼の言葉の裏に隠された真意が読めないほど鈍感じゃない。
体から始まる恋愛もひとつの形だと思うし、常に冷静で大人の余裕を醸し出す彼に身を任せたら、自分がどうなってしまうのか知りたいという好奇心もある。けれど、私にはすぐにYESとは言えない事情がある。