クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「わかった。……だが、もう一人で無茶はするな」


凛花が、おずおずと俺を見上げる。


「今後は、なにかあったらまず俺に連絡しろ。LINEでもメールでも電話でもなんでもいい。直接俺に」

「は、はい……」


俺は彼女の頭にポンと手を置き、肩越しに背後を見遣った。
一度横になり、布団を剥がした跡がある。


「すまない。寝るところだっただろう?」


ギシッとベッドを軋ませて立ち上がった。


「俺は仕事に戻る。お前も早く寝……」


話す途中で上着の裾をツンと引っ張られ、顎を引いて見下ろす。


「あ。ご、ごめんなさい」


凛花が、パッと手を離した。
引き止めるようなことをした自分に戸惑った様子で、目を泳がせる。
俺は、クスッと笑って――。


「……お前が寝つくまで、ここにいるから」


再びベッドに腰を下ろした。
軽く背を屈めて、彼女を覗き込む。
凛花は上目遣いで俺を窺い、小さくこくんと頷いた。
どこかぎくしゃくとベッドに上がり、布団に潜る。
布団を口元まで引っ張り、俺に澄んだ黒い瞳を向けた。
そして。


「……奎吾さん、寝てますか?」


布団に阻まれくぐもる声で訊ねてくる。


「え?」

「ご飯、食べてる? 心配です……」

「っ……」


前にも、同じ心配をされた。
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