クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
その夜、奎吾さんは、お風呂を終えてリビングに戻ってくると。
「凛花、頼む」
寝室に向かいながら、私を呼んだ。
キッチンで片付けをしていた私は手を止め、「はい」と答えて後を追う。
先に入った奎吾さんは、ベッドに腰かけていた。
「毎晩手を煩わせてすまない。まだしばらく、薬を塗るようにと言われてね」
「いえ。ちゃんと綺麗に治るように、大事なことですから」
私は彼から、病院で処方された軟膏を受け取って、その背に回る。
奎吾さんが、着ていたTシャツを裾から捲り上げて脱いだ。
私の視界の真ん中に飛び込んでくるのは、彼の広い背中の右肩から正中に走る一本線の傷痕――。
「っ……」
あれから毎日見てるのに、その度に最初はギクッとしてしまう。
私が怯んだ気配を感じ取ったのか、奎吾さんが肩越しに私を振り返った。
「凛花?」
「あ。ごめんなさい」
私は慌てて軟膏を指に取った。
「すぐ、やりますね」
そう言って、恐る恐る傷に触れる。
怖々とした手つきが伝わってしまったのか。
「怖いか?」
奎吾さんが、そう訊ねてくる。
「い、いえっ!」
私は弾かれたように首を横に振って、即座に否定したけれど。
「鋭利な刃物だったのが幸いだそうだ。まっすぐで、どこにも引っかかりはない。何年か経てばただの線になり、やがて消える」
「凛花、頼む」
寝室に向かいながら、私を呼んだ。
キッチンで片付けをしていた私は手を止め、「はい」と答えて後を追う。
先に入った奎吾さんは、ベッドに腰かけていた。
「毎晩手を煩わせてすまない。まだしばらく、薬を塗るようにと言われてね」
「いえ。ちゃんと綺麗に治るように、大事なことですから」
私は彼から、病院で処方された軟膏を受け取って、その背に回る。
奎吾さんが、着ていたTシャツを裾から捲り上げて脱いだ。
私の視界の真ん中に飛び込んでくるのは、彼の広い背中の右肩から正中に走る一本線の傷痕――。
「っ……」
あれから毎日見てるのに、その度に最初はギクッとしてしまう。
私が怯んだ気配を感じ取ったのか、奎吾さんが肩越しに私を振り返った。
「凛花?」
「あ。ごめんなさい」
私は慌てて軟膏を指に取った。
「すぐ、やりますね」
そう言って、恐る恐る傷に触れる。
怖々とした手つきが伝わってしまったのか。
「怖いか?」
奎吾さんが、そう訊ねてくる。
「い、いえっ!」
私は弾かれたように首を横に振って、即座に否定したけれど。
「鋭利な刃物だったのが幸いだそうだ。まっすぐで、どこにも引っかかりはない。何年か経てばただの線になり、やがて消える」