クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
警察一族の本家長男に生まれながら、法曹界に進み裁判官になった、一族きっての変わり者。
一族の重鎮たちが、総領息子が未婚のまま三十五歳を迎えることに業を煮やし、いい加減身を固めて跡継ぎをと、実力行使に動き出したそうだ。
『適当なところで、さっさと年貢を納めておけばよかったものを。散々好き勝手にやってきて、最後は自分の嫁さんを勝手に決められるとは。自業自得だが、多少気の毒だ』
純平は珍しく兄に同情的に、眉をひそめたが、
『マズいぞ。二年後は我が身だ。適当な女と偽装結婚でもしてやり過ごすか……』
顎を撫でて真剣に思案する様子に、俺は同情ではなく、分家に生まれてよかったと初めて思った。
生涯の伴侶を勝手に決められるのは気の毒だが、花嫁候補は、本人の能力、資質はもちろん、血筋や家柄まで、皇族の婚姻並みに調査された選りすぐりの女性だ。
その中に、凛花の名があった。
他の候補者も大層だったが、俺は間違いなく彼女が最有力候補だと直感した。
今回梗平さんの相手に決まらなくても、このままいけば恐らく二年後……純平の時にまた名が挙がるだろう。
梗平さんは裁判官という職業柄か、いつものらりくらりとしていて、掴みどころがない。
品がよく人当たりもいいが、どこに本心があるかわからない得体の知れない男というのが、俺にとっての印象だ。
一族の重鎮たちが、総領息子が未婚のまま三十五歳を迎えることに業を煮やし、いい加減身を固めて跡継ぎをと、実力行使に動き出したそうだ。
『適当なところで、さっさと年貢を納めておけばよかったものを。散々好き勝手にやってきて、最後は自分の嫁さんを勝手に決められるとは。自業自得だが、多少気の毒だ』
純平は珍しく兄に同情的に、眉をひそめたが、
『マズいぞ。二年後は我が身だ。適当な女と偽装結婚でもしてやり過ごすか……』
顎を撫でて真剣に思案する様子に、俺は同情ではなく、分家に生まれてよかったと初めて思った。
生涯の伴侶を勝手に決められるのは気の毒だが、花嫁候補は、本人の能力、資質はもちろん、血筋や家柄まで、皇族の婚姻並みに調査された選りすぐりの女性だ。
その中に、凛花の名があった。
他の候補者も大層だったが、俺は間違いなく彼女が最有力候補だと直感した。
今回梗平さんの相手に決まらなくても、このままいけば恐らく二年後……純平の時にまた名が挙がるだろう。
梗平さんは裁判官という職業柄か、いつものらりくらりとしていて、掴みどころがない。
品がよく人当たりもいいが、どこに本心があるかわからない得体の知れない男というのが、俺にとっての印象だ。