クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
『ごめんね、凛花ちゃん。遅い時間になっちゃって』
ローテーブルの上からリモコンを取り、テレビの電源を落として電話に応答した私の耳に、そんな言葉が届いた。
「いえ、私の方こそすみません。いきなり連絡しちゃって……」
入浴を済ませ、リビングのソファに腰かけていた私は、無意識に背筋を伸ばした。
『ううん、嬉しい。連絡もらえて』
弾む声の主は、純平さんの婚約者の菅野歩さん。
婚約者と言っても、入籍間近ですでに同棲していて、ほぼ『妻』だ。
歩さんは私より四つ年上の二十八歳で、大手食品メーカーで働いている。
私は、先日の瀬名家長老の卒寿のお祝い会で初めてお会いした。
純平さんが結婚するというのも驚いたけど、その相手がちょっと意外だった。
彼のことは、昔から知っている。
奎吾さんと面立ちは似ているものの、迂闊に近寄れない鋭いオーラがある。
今日私が買ったランジェリーを普段使いしていそうな女性を、手玉にしている印象――でも、彼が結婚相手に選んだ歩さんは、とても優しくて可愛い人だった。
一人っ子の私には、親しみやすいお姉さんができたみたいで嬉しい。
私は、彼女の『嬉しい』という言葉に縋って、「あの」と切り出した。
ローテーブルの上からリモコンを取り、テレビの電源を落として電話に応答した私の耳に、そんな言葉が届いた。
「いえ、私の方こそすみません。いきなり連絡しちゃって……」
入浴を済ませ、リビングのソファに腰かけていた私は、無意識に背筋を伸ばした。
『ううん、嬉しい。連絡もらえて』
弾む声の主は、純平さんの婚約者の菅野歩さん。
婚約者と言っても、入籍間近ですでに同棲していて、ほぼ『妻』だ。
歩さんは私より四つ年上の二十八歳で、大手食品メーカーで働いている。
私は、先日の瀬名家長老の卒寿のお祝い会で初めてお会いした。
純平さんが結婚するというのも驚いたけど、その相手がちょっと意外だった。
彼のことは、昔から知っている。
奎吾さんと面立ちは似ているものの、迂闊に近寄れない鋭いオーラがある。
今日私が買ったランジェリーを普段使いしていそうな女性を、手玉にしている印象――でも、彼が結婚相手に選んだ歩さんは、とても優しくて可愛い人だった。
一人っ子の私には、親しみやすいお姉さんができたみたいで嬉しい。
私は、彼女の『嬉しい』という言葉に縋って、「あの」と切り出した。