【短】逃げないことを、逃げの言葉にするのはいい加減して

そう、私の気持ちはそれだけ。
他の女性が…奥さんというものがどうなのかは知らないけれど、もう付き合って三年目、そのまま結婚して三年の六年もの間一緒にいると、自然と相手の"やり口"は手に取るように分かってしまうから。


「大体、付き合ってからこれまで、通算何回目だっつーの」


最初は、裏切られた事が辛かった。
二回目は、どれだけ自分に魅力がないのかと落ち込んだ。
三回目は、本気で殺してやろうかと思った。


そして、四回目の今…。


私はただただ面倒だと感じ始めている。



ピーピーピー


そこで、洗濯機の乾燥を告げる機械音を耳にし、ソファーから席を立つ。

別に専業主婦をしているわけでもないのに、家の事を全て回して"やってる"だけでも凄く出来た奥さんだと思うのに。


なんで、私が悲劇のヒロイン…なんだか悪者なんだか知らないけれど、そんな大して面白くも何とも無い三文芝居に付き合わなければならないのか…。


「あー…面倒くさい」


パンパンッ


洗濯機から乾いた洗濯物を出して、ふと気付く。


「あれ…?何このシミ…?」


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