ワケありイジワル王子はツンデレ姫様を溺愛したい。

嫉妬

【拓也side】


誰だ、あの男は。
リアちゃんと仲睦まじく話している、あの男。
もしかして………付き合ってるのか?

僕、委員会になりたくなかったんだけどな。
そんな事を思いながらも、委員会の仕事へ向か
う。
委員会だから知ってるけど、リアちゃんのクラ
スはメイド喫茶をやるらしい。
メイドって……リアちゃんもやるのかな。
見てみた……じゃなくて。
僕だけに見せるのはいいけど、他の男にも見ら
れるんなら着て欲しくない………って、僕のわ
がままでリアちゃんを困らせたらいけないね。
そして廊下をぐんぐん進んでいく。
ん?あれは……リアちゃん?
こんな時にもリアちゃんに会えるなんて、僕、
運いいね。
「リアちゃ………」
呼びかけようとしたその時。
リアちゃんの隣に1人の男がいることに気がつい
た。
何を話しているのか分からない……。
でも、顔を見ればわかる。
あの男は、リアちゃんの事が好きだ。
それにしても、随分と親しげだ。
リアちゃん。
あの男の事が好きなのか?
そう思ってしまうのも仕方がない。
リアちゃんの方から、彼に近づいているのだか
ら。
あと数センチで、キスをしてしまいそうなほど
な距離に。
しばらく動けずにいると、2人はバランスを崩し
た。
リアちゃんが危ない!
「リアちゃ………」
でもやっぱり、リアちゃんに手を差し伸べるの
はあの男で。
2人で仲良く笑っている。
胸が………痛い。
僕はリアちゃんの事が好きだ。
そんな事、初めて会った時から分かっているの
に。
“また”、傷つけてしまうのではないかと、不安
で踏み出せない自分がいる。
リアちゃんに告白するにはまだ早い。
まだ、お互いを知らなすぎる。
だから…………
すると、目を疑う光景が飛び込んできた。
リアちゃんが………その男に抱きついていたの
だ。
そうか、これが嫉妬なんだな。
今考えると、リアちゃんはとても可愛い。
だから、彼氏がいてもおかしく無かったんだ。
でも“俺”はまだ諦めない。
あんな彼氏どうでも良くなるくらい、俺に惚れ
させる。
もう、あんな思いはしたくないからーー
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