秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ……うぅーん。不思議に感じるけど、専属女官ってこういうものなのかしらね。
 鏡の前から立ち上がったアズフィール様に促され、並んで食堂に向かいながら、私は内心で首を捻るのだった。

 午後四時、私は女将さんの施術を終えて母屋を出た。小間物屋の店先に回ると、すでにアズフィール様がいて、女性客らに混ざって商品を眺めていた。
 周囲の女性客らが頬を染めながら、チラチラとアズフィール様を見ていた。
 どこかで着替えたのだろう。アズフィール様は、メイジーの町で出会った時と同じ、質素な装いに身を包んでいた。けれど、滲み出る気品は隠しきれておらず、非の打ちどころのない容姿と相まって目立っていた。
 ちなみに、ぐるりと周囲を見回す限り、護衛らしき人影は見当たらない。どうやらアズフィール様は、今回も護衛を撒いてきたらしい。
 私はなんとなく声をかけるタイミングを逃してしまい、遠巻きに見ていたら──。
「メイサ」
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