秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「馴れ馴れしく腕を取ってしまって。その、早くあそこから離れたかったものだから、つい……不躾にごめんなさい」
 あわあわと言葉を重ねる私に、アズフィール様は合点した様子で頷いた。
「なにが不躾なものか」
「あっ!?」
 突然、アズフィール様が大きく一歩踏み出したかと思ったら、私の手を取って自分の腕にかけさせた。ついでにアズフィール様は、当たり前のように鞄を取り上げて、繋いだ腕と逆の手で持った。
「混んでいるからな。むしろ、こうしておいた方がはぐれなくていい」
「……そ、そうね。ありがとう」
 自分から腕を取った時はなんともなかったのに、アズフィール様に同じことをされたら、妙にドキドキして落ち着かなさを覚えた。
 私とアズフィール様は、西日でオレンジに照らされた夕方の街を、寄り添って歩きだした。

***

 俺がメイサとの待ち合わせ場所の小間物屋に到着した時、店内の掛け時計は三時四十分を示していた。
 ……護衛を撒いたり着替えたり、いろいろしてきた割には早く着いたな。
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