秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「……いや。君がここに男性と腕を組んでやって来るなんて、思ってもみなかったから少し驚いてしまったよ。そちらの男性は、メイサの恋人?」
 おそらくブロームも、俺に気づいたはずだ。ところが懐かしく当時を思い出す俺とは対照的に、彼の表情は心なしか曇っていた。
「や、やだっ! これはね、違うのよ。通りが混んでいたから、はぐれないように組んでいただけで、決してそういうんじゃないの!」
 メイサはブロームからの問いかけを即座に否定し、パッと手を解く。
 照れているにしたって、あまりにつれない彼女の態度が切ない。ハァッと小さく息つく俺を、なぜかブロームが観察するようにジッと見つめていた。
「メイサは鍼を受け取りにきたんだよね。実を言うと、今回は要望が細かかったから、見習い中の身には少し荷が重かったんだ。仕上げ処理は、父さんにやってもらっている。奥に父さんがいるから、取り扱いの説明は父さんに聞いてもらえるかな?」
「わかったわ」
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