秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 メイサにとって俺はまだ、一度きりの人生を熱く燃え上がらせるような恋の相手にはなり得ない……。突きつけられた現実に、胸がツキリと痛んだ。
 一方で、新たな決意も浮かぶ。今はまだ、愛には遠いかもしれない。しかし、いつか必ず振り向かせてみせる。俺のことを最愛と、自覚させてみせる。一度きりの人生を、俺はメイサとの相愛に生きるのだ──!
「どうかした?」
「いいや、なんでもない。さぁ、メイサ。次がラストダンスだ。一緒に踊ってくれるね?」
「ええ」
 彼女とふたり手と手を取って会場の中央に戻り、スローテンポなワルツに合わせてひらひらと舞う。
 広い会場内がメイサと俺のふたりきりになったような気分だった。光の粉を振り撒くように、メイサはどこまでも優美だった。そんな彼女を間近に見つめ、時に体を密着させて互いの体温を感じながら踊る。
 彼女は夜会の初めにシャンパンの弾ける気泡を眺めながら『夢でも見ているみたい』だと口にしたが、俺自身この瞬間が彼女の言葉通りひと時の夢のように思えた。
 しかし、夢のように幸せなこの時間は、決して泡沫の夢ではない。これは彼女と共に過ごす幸福な人生のほんの序章。俺の腕の中で軽やかにステップを踏むメイサを眺めながら、至福のラストダンスに酔いしれた。

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