秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ……たしかに姉の裏切りはショックであり、心に深い傷を残した。だが、俺はもう姉に手を引かれなければ歩けぬ幼子ではない。姉と袂を分かち、己の足で歩いていけるのだ。
 そして、俺の隣にはメイサがいる──。
「助けただなんて、とんでもないわ。……むしろ、余計なことをしてしまったんじゃないかって、少し後悔してる」
「もし君が俺に伝えたことを悔いているのなら、それは間違っている。俺は刺客の存在に気づいていて、一匹捕まえて口を割らせようと思っていたんだ。姉の件は、君から聞かなくとも遠からず発覚していた。俺は、君の口から聞けてよかった」
「……アズフィール様。差し出たことかもしれないけれど、イザベラ様の件はどうするつもりでいるの? 立太子の礼は、もう明日だわ」
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