秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「不当な手段で王位の簒奪を目論んだ姉が将来の王になることだけは絶対にあり得ない。姉はこれから、己の犯した罪と向き合わなければならない。ただし、君の言うように儀式を明日に控え、既に各国高官が王宮に揃っている。ここで王家の醜態を晒すわけにはいかない。父にだけは伝えるが、処遇など具体的なことはすべて立太子の礼の後だ」
 メイサは俺の答えに重く頷いた。
 俺は一拍の間を置いて、彼女に告げる。
「メイサ、すべてに決着がついたら君に伝えたいことがある」
 メイサが僅かに首をかしげる。その仕草の可愛らしさに、俺の頬が自ずと緩んだ。
「なにかしら?」
 俺を見つめるメイサの頬が僅かに朱色を濃くし、その瞳が熱を帯びて潤んで見えるのは、決して俺の気のせいではないだろう。思い上がりではなく、彼女も少なからず俺を男として意識し始めていることは間違いなかった。
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