秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ええ。私の口からメイサの将来について、軽々しく言及することは絶対にしないと決めているの。ひとり娘の縁談を私が強行して進めたために、反発した娘はひとり国外へと飛び出していってしまった」
 大叔母様の口から、メイサの母である女性の話が語られたのは初めてだった。大叔母様はさらに、言葉を続けた。
「結果的に娘とは和解したし、孫娘のメイサとも出会えたのだから、すべてが悪かったとは思わない。けれど、あの時私が別の行動を選んでいたら、娘は家を飛び出すこともなく、未婚のまま母になる未来とは違う幸せを掴んでいたかもしれない。なんにせよ、孫娘のメイサには、自分の意思で自分の道を歩んでほしいの。すべてはメイサの心ひとつよ」
「なるほど。では、大叔母様を懐柔する作戦は諦め、メイサの心を得られるように真心を尽くしましょう」
「まぁっ、そんな作戦を立てていたのね。隅に置けないんだから」
 大叔母様は朗らかに笑った。
「ところで、実はおふたりに折り入って頼みたいことがあります」
< 292 / 340 >

この作品をシェア

pagetop