秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 あの時は、別れの雰囲気のまま王子の言葉に頷いて、手を振って見送ったけど……『遊びにおいで』まではわかる。しかし、後になって冷静な頭で思い返すと、どうして隣国のいち貴族令嬢にすぎない私が、国王陛下との『対話』などという話になるのかが謎だった。
 ……まぁ、きっとヴァーデン王子も別れ際の忙しない中で、言葉選びを違えてしまったのよね。
 とにもかくにも、こんなふうにアズフィール様は、終日動きっぱなし。疲れるのも当然だった。だけど、なによりアズフィール様を困憊させたのは、先ほどまで行われていた会議だろう。
「会議で話はまとまった?」
 両陛下をはじめとする王家の面々と重臣たちだけで秘密裏に開かれた会議の議題は、イザベラ様の処遇についてだ。
「ああ。姉上は明日、北の城塞に移る。そうして内々にではあるが、いずれ王籍から外すことも決まった」
「王籍からの除籍!?」
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