不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

「いえ、こちらこそお忙しいところを引き留めてごめんなさい」
「話が中途半端でごめん。でも、斗馬は浮気なんてできる器用なヤツじゃないってのは確かだよ。俺の前でも千帆さんとの惚気話ばっかりだ。だから、どうか信じてやって」
「夕飛さん……」
「やばっ。本当にもう行かなきゃ。じゃあまた」

 夕飛さんは颯爽と駆け出し、すぐに人波の向こうに見えなくなった。私はカフェに行こうとしていたのも忘れ、呆然と立ち尽くす。

 天使はどこにもいなかった。ということは、他にも私はなにか誤解をしているのかもしれない。

 今すぐ斗馬さん本人に確かめたいけれど、今日は彼も仕事。あんな風に家を出てきてしまった手前、どうやって話を切り出したらいいのかもわからない。

 離婚を告げた直後にやっぱり誤解していましたなんて、さすがに勝手すぎるよね……。

 もう少し頭の中を整理して、気持ちが落ち着いてからにしよう。

 どっぷり自分の思考に浸っているうちに、搭乗予定の飛行機に関するアナウンスが聞こえてきた。

 とりあえず私のすべきことは仕事だ。佐藤くんがいない分もカバーしないと。

 無理やり気持ちを切り替え、搭乗口の方向へ歩きだした。

< 155 / 172 >

この作品をシェア

pagetop