不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
信じられない思いで瞠目していると、斗馬さんがつかつかとこちらに歩み寄ってくる。そして身動きも取れずに立ち尽くす私の前まで来ると、両手を広げて私を抱きしめた。
斗馬さんの体で視界は遮られているが、ホテルを行き交う人々の注目を集めているに違いない。しかし、私の胸に広がるのは羞恥よりも、斗馬さんへの強烈な愛おしさだった。
あんなに冷たくあなたを突き放した私を、どうしてこんな風に抱きしめられるの?
出張に来てから膨らみ続けていた斗馬さんへの罪悪感が、温かい涙となって私の瞳を濡らした。
「千帆が出張に出かけた日の夜、夕飛から連絡をもらったんだ。俺たち夫婦は、お互いに大きな誤解を抱いていると」
夕飛さん、あの後斗馬さんに伝えてくれたんだ……。彼の人柄についても私はかなり誤解していたようだと、今さらのように気づく。
「すみません、私が勝手に早とちりしたせいです。天使というフレーズを、ずっと女性のことだと勘違いしていて」
「ああ、夕飛に聞いた。しかし、否定しない俺も悪かった。俺はてっきり、合コンへの参加自体を咎められたんだと思っていたんだ。千帆は真面目で純粋だからな」
私の頭をそっと撫でながら、斗馬さんが語る。
浮気を否定しなかったのも、その根底にあったのは私への思いやり。
なんで私はこんなに優しい人を疑っていたんだろう。情けないやら恥ずかしいやらで、ギュッと彼の胸に顔を押しつける。