不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

 翌日の日曜日、サービス業の私は出勤だけれど、斗馬さんはお休みなので車で会社まで送ってくれた。

 斗馬さんが所持している車は三台あり、スタイリッシュな赤いスポーツカー、高級感あふれるシルバーのセダン、落ち着いた黒のSUV。どれもハイクラスな外国製で、乗り心地も抜群。

 今日の送迎は、私のリクエストでシルバーのセダンにしてもらった。

「じゃ、仕事が終わったら連絡をくれ。デートの約束、忘れるなよ」
「はい。わかりました」

 今日は帰りも迎えに来てもらい、昨日の埋め合わせにそのまま食事をする約束だ。斗馬さんが贔屓にしているフレンチレストランに連れて行ってくれるそうなので、いつもの通勤服より少し華やかな、ブルーのAラインワンピースを着てきた。

 会社の前で車を降り、軽く手を振り合う。眩しい朝日を遮るためサングラスをかけている斗馬さんは、まるで芸能人のよう。

 会社に着くまでずっと、彼がハンドルを握る姿にこっそり見とれていた。

 未だに信用しきれていない内面はともかく、彼の容姿が極上なのは天地がひっくり返っても揺るがない事実。ドキドキしてしまうのもしょうがないと、最近は仕方なく受け入れているのだ。

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