不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

「夫の言い分を、あなたが信じてくれるかどうかはわからないけど……少なくとも私は噓をついていないと感じたわ」
「……そっか。うん。ありがと」

 佐藤くんは気が抜けたように椅子の背もたれに寄りかかり、天井を仰いだ。期待していた情報が得られず、落胆しているようだ。

「ごめんなさい、大して役に立てなくて」
「なんで千帆ちゃんが謝るんだよ」
「だって、私に近づいて情報を引き出すために三回もこの会社の中途採用試験を受けたんでしょう? その労力に見合った結果が出てないから、なんだか申し訳なくて」

 しかも、自分のためでなく大切な妹のため。入社の動機は不純だけれど勤務態度が悪いわけでもないし、家族のためにそこまでできる行動力は見上げたものだ。

「いや、謝るのは俺の方。千帆ちゃんはいつも親身になって指導してくれてたのに、恩を仇で返す様な真似をしてごめん」

 座ったまま両手を膝の上に置き、佐藤くんが大げさに頭を下げる。

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