不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
沈黙が落ちたところで、天使のカプレーゼが運ばれてくる。チーズに罪はないのに、なんとなく複雑な気持ちになった。
「まさかとは思うけど、斗馬さま、開き直ってるわけじゃないんでしょ?」
「うん。今は反省してるみたいだし、二度と私を悲しませないって言ってくれてる」
「でも、千帆の離婚したい気持ちも消えないんだ?」
「そこがすごく難しい。今の斗馬さんを見ていると、許してあげてもいいんじゃないかって気持ちになることもあるの。でも、簡単に許してまた裏切られたらと思うと、やっぱリ決断できなくて……自分の心の狭さがいやになる」
笑いながら言ったたつもりだったけれど、じわっと涙が浮かんで視界が揺れた。
斗馬さんがほかのどんな失敗をしたって許せる自信があるけれど、浮気という失敗に関してだけ、寛容になれない。自分がこんなに執念深い女だなんて、知らなかった。
斗馬さんは反省の態度を見せているし、言葉でも行動でも、私に寄り添ってくれているのに……。
考えれば考えるほど涙が次々出てきて、私はバッグからハンカチを出し、濡れた目元に押しつけた。