不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「千帆は全然心狭くない。好きな相手だからこそ、許せないんだよ」
「紗那……」
「無理に許そうって思わなくていいんだと思う。だって、悪いことしたのは明らかに斗馬さまの方だもん。もっともっと千帆に尽くして貢いで、罪を償いなさいって感じ」
貢ぐだなんて言葉をあっけらかんと発した紗那に、思わずふっと笑ってしまう。
実際に貢がせるつもりはなくても、それくらい強気でいていいってことよね。
気を取り直すように洟を啜って、彼女の言葉を噛みしめるように頷いた。
「ありがとう。なんだか元気出た」
「よかった。じゃ、いい加減食べようよ、天使」
「うん」
私は張り切ってフォークとナイフを手に取り、心の中で『天使めっ』と悪態をつきながら、ぷるんとしたチーズの中央に思い切って刃を入れる。
皿に取り分けて口に入れる際も、にっくき天使を成敗するつもりでしつこくチーズを咀嚼する。そして最後にごくんと飲み込むと、心なしか胸がスッとするのだった。