すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 家に帰った。
 まだお母さんは帰ってきていない。

 断られた時のことばかり考えちゃって、正直怖い。やっぱり、聞くのやめようかなぁ。

 結局私は……。


 その時ふと、悠真の言葉を思い出した。

「もっと自分の気持ちを、周りに伝えて!」って言葉。ずっと言われてから頭の中で引っかかっていて。

 よし、頑張ろう!
 気持ちを、伝える!

 伝えたい内容を頭の中でシュミレーションする。

 玄関のドアが開く音がした。

 お母さん、仕事から帰ってきた!

 リビングに入ってきたお母さんはすぐに洗面所へ行き、手を洗ってから、キッチンへ。冷蔵庫を開け、昨日作り置きしていたハンバーグを取り出し、レンジで温めている。ちなみに私はすでに食べ終わっていた。

 いつ話そう……。

 言うタイミングが難しい。
 普段お願いごとをしないから緊張するなぁ。

 しかも、お願いするのはとても大きなこと!

 お母さんが四人用の長方形のテーブルに料理を置き、椅子に座って落ち着いた。

 よし、今だ!

「あのね、お母さん、お願いがあるんだけどね……」

 お母さんの横に座り、お母さんの方を向く。

「何?」

「あのね……」

 なかなか言えないよぉ。
 目も上手く合わせられない。

「もじもじして、どうしたの?」

「あのね」

「うん」

「お母さん、私ね、犬を飼いたいの!」

 目を合わせてはっきりと気持ちを伝えた。

「えっ、犬?」 

 お母さんの目が見開く。

 それから、今日の出来事を詳しく話した。

 お母さんの動きが止まり、箸を置くと、こっちを見つめてきた。
 
「面倒みれるの?」
「うん、大丈夫!」
「きちんと、ご飯やお散歩、一緒に遊んだりも出来るの?」
「うん。出来る」
「犬は物じゃないんだよ! きちんと人間と同じように、悲しい心や嬉しい心を持っているんだよ? 大切なひとつの命だよ? 」
「うん、分かる」
「面倒くさくなったから、ほっておくとかしない?」 
「絶対にしない! だからお願いします!」

 しばらく無言が続く。
 お母さんはどうしようか考えているみたい。

「私の意見は、飼ってもいい、かな? 結愛なら、大切にしそうだね!」

 お母さんは優しい笑みをくれた。

 その言葉を聞いて、その表情を見て、私の心はフワッと綿毛みたいに軽くなった。



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