公爵の娘と墓守りの青年

「言いたいことは分かるよ、ウェル。今の私が、今までと違うと言いたいのだろう?」

苦笑を浮かべ、トイウォースは従弟に顔を向ける。

「……ある日を境に、私の中から知らない声が聴こえるようになった。その声が日に日に強くなり、私の身体を動かすようになった。それが、今までの私だよ。声が動かす間の記憶もある。謝って済む問題ではないけれど、ウェル、今までごめん」

頭を下げ、トイウォースは謝った。

「ウィンベルク公爵のお嬢さんも、皆さんもすみませんでした」

「……トイウォース殿は闇の力に乗り移られていたのですか?」

「そうだよ。その話はカエティス殿が目覚めてから話すよ。今は、過去を見に行かないと」

ベッドから降りたトイウォースは立ち上がり、ウェルシールに言う。

「彼の言う通りだ。国王、後で考えろ。魔狼、その場所に案内してくれる?」

まだ戸惑いを隠せずにいるウェルシールにエマイユは言い、それからビアンを見る。

「ああ、こっちだ」

小屋から出て、ビアンは案内する。
彼に続いて、リフィーア達も小屋から出て行く。

< 232 / 482 >

この作品をシェア

pagetop