BeAST
俺も腹蹴られたの、結構堪えてるしな。
「……てめえ、さっき」
後ろから低く唸る柿谷。
「ん?あぁ、そうだ、答えてもらわねえと。でも、殴られんのは嫌だなぁ。飛び降りたのも色んなやつに怒られて、泣かれて。大変だったんだよ」
「黙って聞いてれば、好き勝手なこと言うんだな」
……ん?
誰だこいつ。
黒髪に、口ピ。
そりゃ、居るか。お仲間。
「皇ほど頭おかしいヤツはいねえと思ってたが、お前も相当頭おかしいな」
俺、こういうまどろっこしいの、本当に向いてねえな。
「そうだな。確かに柿谷はあいつよりは分かりやすいな。分かりやすく馬鹿で、昨日は俺の挑発全部、馬鹿正直に答えて。皇より、よっぽど可愛いよ」
ハッと鼻で笑えば、ズイッとその黒髪が俺の前に来る。
180ってとこか。
発育良い奴ばっかだな。
大概、俺もいえねえか。
女で175も要らねえし。
「もしかして、友達が苦しめられてんの見てらんねえから、助けようとしてんの?」
ピクリとも動かないそいつ。
「……仲良しごっこも大概にしろよ」
睨みあげれば、グッと体に力が入る黒髪。
「じゃ、柿谷。また来るわ」
昔の俺に、環がしたように。
興田春(おきたはる)。
柿谷と皇の、消えない深い深い傷。