皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
「そなたが噂の軍服の麗人かーー面白い。退屈しのぎにはなりそうだ」

ルイスは足組、腕組みしハンと嘲笑ったかと思うと高々笑った。

ソフィアはルイスの立ち居振舞いを毅然として、起立したまま見守った。

正直、彼の言葉の意味を計りかねていた。

「面白い」とはいったいどういう意味なのか、さらには退屈しのぎとはなんと無礼な言いぐさかと。

ソフィアは皇太子殿下でなければ、思い切り平手打ちしてやりたいのを抑え、平常心を装った。

「週末は女王陛下主宰の舞踏会だ」

「はっ! 伺っております。万事に備え、しかと護衛させていただきます」

「ん……そういう、堅苦しいのは前任の護衛で腹一杯だ。交替した意味がない」

ルイスは暫し天井を仰ぎ、「そうだ!」と目を輝かせた。

「そなた、当日はドレスを着て護衛に着け」
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