7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 じんわりと、奏弥の胸の中に翔次と過ごした日々が蘇ってくるのが判った。
 双子の兄弟なのに、病気がちな奏弥に対して翔次は元気そのものだった。
 だが、いつも心配してくれてとても優しくしてくれていた。
 しかし中学に入ってから、翔次はとても冷たくなり夜中に家を抜け出して夜遊びを始めた。
 一緒に寝ていた奏弥は気づいていたが、疾風と奏には内緒にしていた。
 高校生になると別々の学校へ進み、大学からは完全に離れてしまい、社会人になると行方不明にばかりなる翔次。
 奏弥は弁護士の特権を利用して、翔次を探し出して追いかけた。

 ようやく翔次が疾風の後を継ぐ決意をして、宗田ホールディングに入社して副社長になってくれて奏弥は安心していた。

「翔次…。お前、やっぱり俺とは繋がっているんだな。何も言わなくても、俺の好きな人まで分かってしまうのだから。…安心していいよ。…凜さんって人の事、まだ思い出せていないけど。翔次が愛した人をこれからは、俺が護ってゆくから…」

 手紙が書かれて日付は5年前になっていた。
 きっと、翔次が亡くなる前に書いておいたのだろう。


 しばらくすると。
 奏が凛太朗と聖龍を連れて帰って来た。

 聖龍は奏弥を見ると大喜びで飛びついて行くが、凛太朗は遠慮しているのか近づこうとはせず様子を見ていた。

 
 夕食が出来ていてさっそく一緒に食べる事になった。

 今日は凜太郎と聖龍が来ると言う事で、2人が好きなものが用意されていた。
 子供が好きなデミグラスハンバーグとポテトサラダ。
 お皿に盛りつけられたハンバーグに、凜太郎も聖龍も大喜びしている。

「沢山たべてね」
 
 奏がそう言うと、凛太朗と聖龍は満面の笑みで頷いた。

 久しぶりに大勢で食べる食事はとても美味しく、とても美味しそうに食べる凛太朗と聖龍を見ていると奏弥も自然と笑みがこぼれていた。



 
 凛太朗と聖龍が宗田家に行って、楽しそうに夕食を食べている頃。

 凜はアパートで荷物の整理をしていた。

 大きなスーツケースに荷物をまとめて、どこかに旅行でも行くのだろうか?
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