7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「翔次」
名前を呼ばれて、翔次は仕事の手を止めて疾風を見た。
厳しい目と言うよりは、どこか心配しているような目をして見ている疾風に、ドキッとした翔次だが、それを悟られないように平然を装った。
「今日は、定時で仕事を終わらせてくれ。そして、家に来てほしい」
「今日は無理です。これだけ仕事が溜まっていますから」
突き放す翔次に、疾風は少し厳しい目を向けた。
「いいから、今日は定時で終わるんだ」
「これ以上仕事が溜まってしまったら、追いつきませんから」
あくまでも突き放す翔次を見て、疾風はスッと、薬の袋をデスクの上に置いた。
その袋を見ると、翔次の顔色が変わった。
「これは、お前のデスクのごみ箱に入っていた。たまたま朝早く出勤した時に、仕事の様子を見に来た時に見つけた」
「そうですか…」
兄貴が言っていた事はこの事か。
まさか父さんに見られていたなんて…。
「翔次。私は、お前に生きていてほしい…だから…」
グッと込みあがる感情を押さえた疾風だったが、潤んだ目を隠すことはできなかった。
そんな疾風を見ると、翔次は少し辛くなりシレっと視線を反らした。
「ほっといて下さい。ちゃんと、病院には行っていますから」
「それなら、もう仕事はしなくていい。しっかりと、身体を治しなさい」
「それはご心配なく。自分の義務は、果たしますから」
「お前の義務は、私より長生きする事だ! 仕事よりも、何よりもそれが優先だ」
長生きする事…よく言うよ、熱が出てもほっといたくせに…。
突然込みあがって来た怒りに、翔次は自分でも戸惑った。
もう子供の頃の事で、とっくに終わっている事。
どうでもいいと思っていたのに、今になって何を怒っているのだろうか?