男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
 付いていてくれると安心できるそうだ。

 彼の中で治療係という存在が、尊敬する教師みたいになっている気がする。

 舞踏会の時、父のラドフォード公爵に聞かされて『あなたが守ってくれるので安心です』と彼は言っていた。

(私、守れてはいない気がするけどな)

 自分で言うのもなんだが、結構、スパルタだ。

 事実、舞踏会ではフィサリウスの話しに付き合ってジークハルトを放置してしまった。その結果、泣き付かれた。

 その時、エリザは彼の短い悲鳴を聞いて我に返った。

 直後、ローブの背中を両手で握られて、ぐんっと重心がかかる。

「……おいおいジーク」

 ルディオが呆れ返っている。

 二人よりずいぶん小さなエリザの後ろに、ジークハルトが背を屈めて隠れていた。

(うん。堂々と歩いていたとは思えないワンコな姿)

 うーんとエリザは考える。

 一緒に出歩くようになってから、彼が自分を盾にするのには慣れた。しかし、不意打ちだとやはり驚いてしまう。

 進む先の廊下から、歩いてくる三人のメイドの姿があった。
< 155 / 392 >

この作品をシェア

pagetop