鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
「あのー、石野はパッケージデザイン担当の社員でして、アテンドは別の……」

引きつった顔で袴田課長が提案してきて、そうだ、そうだと頷いて同意したけれど。

「ヤダ。
僕は苺チョコちゃんがアテンドじゃないと仕事しない」

速攻で神月さんから切り捨てられる。
しかもヤダとか、子供か!?

「伶桜。
そういうわがままは……」

「真奈美さん。
僕はいままでずっと、いい子で仕事をしてきたよ?
最後くらいわがまま、許されるんじゃないかな」

「……はぁーっ」

真奈美さんの口から、大きなため息が落ちていく。

「袴田課長が許可してくれたら、ね」

「うっ」

うるうると瞳を潤わせた神月さんから見つめられ、袴田課長が言葉を詰まらせる。
あれにダメだと言うのは至難の業だというのはわかる。
私だったら速攻でいいよ、と言ってしまいそうだもの。
でも、ここは私の未来がかかっているわけで、袴田課長にはきっぱりダメだと言ってもらいたい。

「……石野の本来の業務に差し支えない範囲なら」

はぁっ、と詰めていた息を吐き、袴田課長は肩を落とした。

「やったー!」

「え、ええーっ!?」

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