鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
「チョーコは身も心も、俺のものだ……」

「……がう……」

彼の唇が、私の言葉を封じる。
もっとも、私の小さな小さな声は、彼に全く届いていなかったが。

唇が離れ、袴田課長は私から下着ごとジーンズを引き抜いた。
足を開かされ、無理矢理舌で身体をこじ開けられる。

「……イヤ」

けれどかまわずに、彼はそこへ舌を這わせ続けた。
私のためではなく、自分の快楽のために。

「……」

ズボンと下着を下ろした彼はそれをそこへあてがい、性急に私の中へと侵入した。

「……はぁっ」

「気持ちいいか、チョーコ」

私の意思など無視して、彼が腰を振る。
気持ちなどよくない。
これは喘ぎ声などではなく、ただ単に乱雑に突き上げられ、肺から空気がせり上がって出ていった音に過ぎない。

「この醜い傷を愛してやれるのは、俺だけだ」

彼の唇が私の傷痕へと触れる。
イヤ。
触らないで。
あの人が可愛いと言ってくれたこの傷へ、その汚い唇で。

「チョーコのこの身体も、この心も、俺のものだ。
他の男になんて渡さない」

貴方には奥さんがいるのに?
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