禁断の味はチョコレートのように



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木曜日の夜。
待ち合わせ時間前に翔太からメールが届いた。
会議が長引いて少し遅れると。
杏は大丈夫ですと返信しスマホを弄っていた。

相手は社長、忙しいのが普通だろう。
しかし会議が終わってすぐに帰る周囲は彼をどう見るのか。
既にそういう事をしていることを知っているのか知らないのか。
それは杏の前にも何人かそういう女が翔太にいたことを示すわけで、それを考えると杏の心の中はモヤモヤとしたものが巣くう。

「ごめん!」

駅の中からでは無く、目の前のタクシーロータリーから翔太は現れた。
笑顔を見せる翔太に杏は駆け寄る。

「お仕事お疲れさまです。そんなタクシーで来なくても」

「会議をしていた会社からだとタクシーの方が早かったんだ。
行こうか、ここから歩いて五分くらいの場所だから」

ごく自然に杏の背中に翔太の手が添えられる。
それを杏は嫌だとは感じなかった。
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