禁断の味はチョコレートのように
「ただ土曜日に出かけました」
一気に期待するような目をした利奈に杏が釘を刺す。
「ご期待に添えずすみませんが、思い切り健全ですよ?
動物園行って閉園間近まで楽しんで、中華料理食べて家まで送って貰って終了です」
利奈はきょとんとしていたが、動物園!と大笑いしだした。
普通の店なら注意されそうな笑い声の大きさだが、こういう時にもカラオケボックスは便利だ。
「杏は警戒心高いものね。さすがそういう順序を踏むってのが出来る男だわ」
「それは私だってわかってます」
「次の予定は?」
楽しげに利奈が聞いてきて、杏は諦めた様に答える。
「木曜日の夜に食事に誘われてます」
利奈は間違いなく杏が懐柔されているのをわかっていた。
杏が嫌だと思うならそもそも土曜日に出かけることも無いだろう。
『荒療治かもしれないけれど、杏を彼が良い方向に導いてくれたら』
不倫を推奨したいわけでは無い。
だが出来る男は大抵早々に売れてしまっている。
いい男に触れるチャンスを、利奈は身勝手と思いながらも杏にも自分が救われたように経験して欲しかった。