禁断の味はチョコレートのように
「どうしたの?パスタ取り分けるから食べよう」
「・・・・・・はい」
か細く出た杏の声に、翔太は口角を上げる。
「杏、俺は君の砕けた話し方の方が好きだな」
そう言って取り分けた皿を杏の前に置けば、杏は潤んだ目をしながら、うん、と答える。
それを翔太は満足そうに微笑んで、また食事を再開した。
「・・・・・・大丈夫?」
「うん」
その後も話の盛り上がった二人は、特に杏はピッチも速くワインを飲んでしまい顔は真っ赤だ。
翔太は杏の住所を知っていたため、タクシーを呼び止め一緒に乗り込む。
酔っぱらい一人など、何かあっては困るのでタクシーに乗せてはもらえない。
マンションに着きタクシー代金を翔太が支払うと、一人で戻れるという足下のおぼつかない杏を支えて翔太は杏の部屋まで着いた。
「鍵は?」
「んー」
鞄に手を突っ込みごそごそしているのを見かねた翔太が、俺が探すよと鞄を借りて鞄の底に埋まっていたキーケースを発見しドアを開ける。
「良い?ドアきちんと閉めるんだよ?」
中に杏を入れたが、杏ははーい、と答えるもののたどたどしい。
杏はドアを閉め部屋をようとした翔太の背中から抱きついた。