禁断の味はチョコレートのように
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翔太から連絡があり、杏と日程調整して一泊するのが決まったのはあの日から一ヶ月半後だった。
土曜の昼待ち合わせで、日曜日まで一緒にいるというスケジュール。
もちろんその前に杏は泊まりに行くことを散々迷った。
それが何を意味するかわかっているからだ。
だけれどそんな杏を見越して翔太は手を打った。
『怖いなら手は出さない。ただ一緒に話す時間が欲しい』と。
これは翔太からすれば本音ではあった。
翔太の目的は体も心も取り込むこと。
無理矢理、本人が納得しないでなど翔太の美学に反した。
不倫に美学も何も無いことぐらい、翔太もわかっているので自分に呆れもするのだが、それで心から幸せそうにする女性達を見ればまたそれを味わってみたくなる。
「我ながら深い業だな」
翔太は呟く。
妻には出張は日曜までで夜遅くなると言ってある。
彼女は、そうなの、頑張ってと綺麗な笑みを浮かべる裏で、男に連絡しているのはわかっている。
お互いわかった上での自由な付き合いだ。
そろそろ羽田。着陸が近いとのアナウンスが流れる。
自分が見つけた可愛い着せ替え人形と会うのを楽しみに、翔太はノートパソコンの電源を切った。